認知行動療法・実践カード 使用の手引き5
5.カードの実施(否定的自動思考カード)
それでは、これから実際にカードを用いて認知の変容を行っていきます。
(カードを用いる前に「使用マニュアル」をよく読んでおいてください)
否定的な自動思考カード

- DACSで「4.かなりそう思っていた」か「5.非常にそう思っていた」に○がついていた項目を取り上げ、項目番号に該当するカードを用意します。1回のセッションで行うには、最初は3項目くらい、慣れてきたら4~5項目くらいを目安にします。
- その項目について、その考え方を支持する根拠を考えます。
「○○さんはこの考え方について、非常にそう思っていたと回答しました。では、”項目タイトル(例:私はこの先きっと孤独になるだろう)”という考えを支持する根拠は何ですか?」
または、
「こう考える理由は何ですか?」
と質問します
クライエントが自分で支持する根拠を考えられるようなら、それを聞きましょう。
そして、
「確かにそうですね。では、他の人がどう考えているかも見てみましょう」
と言いながら、カードの内容を一緒に見ていきます。
*こちらが声に出して読み上げてもいいし、クライエントに黙読させたり、声に出して読ませたり、と状況に応じて臨機応変に行いましょう。
もしクライエントが支持する根拠を考えられなかった場合、
「それでは、支持する根拠として以下のような考え方をあげている人がいますので、一緒に見ていきましょう」
と言って、読み進めていきましょう。
- 続いて、支持しない根拠を考えます。
「では、この考えを支持しない根拠は何かありませんか?」
と質問します。
クライエントが考えつかない場合には、
「多くの人がよく言うことはこのようなことですので、読んでみましょう」
と言って、カードの支持しない根拠の項目を読み上げます。
- 最後に、合理的な自動思考を考えます。
「このように”項目タイトル”という考え方には、それを支持しないこともあげられます。今後”項目タイトル”と言う考えが浮かんでしまう場面で、今までの考えに取って代わるような、より現実的な理性的な考え方はできますか?」
と質問します。
クライエントが考えつかない場合には、
「多くの人が言っている合理的な自動思考としては、このようなものがありますので一緒に読んでみましょう」
と言い、カードを読んでいきます。
読み終わったら、
「○○さんがこういう考え方の方がより現実的だと思える項目があれば、読んでみてください」
と言います。
クライエントが選んだ項目を読ませた後に、
「今どんな感じがしますか?」
と質問し、感情の変化が起こったかどうかを確認しましょう。そうすることで、クライエントは考え方により、気分の変化が起こるということを体験します。自分自身で実感してもらうことがとても重要なことなのです。
「では、これからはこのように考えてみましょう」
と言い、ノートに書き写させましょう。
ノートに書くことによって、クライエントはもう1度読み直すことができます。
