PMS & PATS

    PMS (Positive Mood Scale) は肯定的気分を、PATS (Positive Automatic Thought Scale) は肯定的自動思考を測定する質問紙です。仕事や学業、対人関係等における肯定的な感情は、創造的な思考活動を促進し、問題解決を助け、社交的になり対人関係の促進をもたらすことが明らかにされています。また心理療法においては、不安や抑うつといった否定的気分の低減もさることながら、未来志向性、勇気、楽観主義、ユーモア、嬉しい楽しいといった肯定的感情の増加が心理療法の効果を決定する可能性も指摘されています。職場風土の改善や学級経営においても明るく活力のあるクラスを作っていく上で肯定的感情を高めることは意義があります。

名称 PMS PATS

Positive Mood Scale

Positive Automatic Thought Scale

測定対象 肯定的気分 肯定的自動思考
項目数 12項目 29項目
所要時間 2,3分

4,5分

測定因子 「リラックス気分」
「親和気分」
「快気分」
「集中気分」
「肯定的評価への信頼」
「人生の肯定的評価」
「周囲への信頼」
「時間的ゆとり」
「目標への意欲」
「楽観視傾向」

回答 この2,3日の気分にどの程度あてはまるかを、「まったくあてはまらない」から「非常によくあてはまる」の7段階評価

この2,3日の考えで質問事項についてどのように思っていたかを、「まったくそう思っていなかった」から「非常にそう思っていた」の5段階評価

構成 質問紙 30部 質問紙 30部


採点と評価

質問紙で採点し因子別の素点をWebで入力。結果表示は3通り。下記参照

著者

福井 至、瀧ヶ崎隆司、中山ひとみ、高井絵里



Webでの結果表示例

個別診断結果のグラフ表示と
フードバックコメント
ケースフォーミュレーションによる改善計画の立案 グループ(集合体)の一覧結果


PMS & PATSを活用して…
学校での肯定的気分の高め方

「リラックス気分」を高めるには・・・・「時間的ゆとり」と「楽観視傾向」の自動思考を強める必要がある。趣味に没頭する、ただボーっとする、友達や家族とじっくり話をする、ゆっくり食事をする、お風呂にゆっくり入る、嫌なことをしない、嫌なことは忘れる、くよくよしない、アクシデントがあってもばたばたしない、などを心がけるよう指示する。

「親和気分」を高めるには・・・・「肯定的評価への信頼」,「周囲への信頼」及び「目標への意欲」の自動思考が重要である。このうち「肯定的評価への信頼」と「周囲への信頼」は他者との関係の中で生じるものであるので、教師から児童・生徒に対して積極的に声を掛ける、挨拶をする、ちょっとしたことでも良いところを誉める、励ます、親身になって話を聞く、などを実践することでこれらの自動思考を強める。また、「目標への意欲」の自動思考を強めるためには、目標をはっきりさせる、簡単にはあきらめない、信念を持つ、新しいことにチャレンジする、などを心がけるよう指示する。

「快気分」を高めるには・・・・「楽観視傾向」,「人生の肯定的評価」及び「周囲への信頼」の自動思考が重要である。嫌なことは忘れる、くよくよしない、アクシデントがあってもばたばたしない、友達や家族に感謝する、将来の目標を明確にする、ちょっとした良いことでも素直に喜ぶ、などを心がけるよう指示し、「楽観視傾向」と「人生の肯定的評価」の自動思考を強める。また、「周囲への信頼」の自動思考を強めるために、教師は児童・生徒を励まし、親身になって話を聞くようにする。

「集中気分」を高めるには・・・・「目標への意欲」の自動思考を強める必要がある。目標をはっきりさせる、簡単にはあきらめない、信念を持つ、新しいことにチャレンジする、などを心がけるよう指示する。
職場での肯定的気分の高め方

「リラックス気分」を高めるには・・・・「時間的ゆとり」と「楽観視傾向」の自動思考を強める必要がある。趣味に没頭する、ただボーっとする、友達や家族とじっくり話をする、ゆっくり食事をする、お茶を飲んで一息つく、お風呂にゆっくり入る、嫌なことをしない、嫌なことは忘れる、くよくよしない、アクシデントがあってもばたばたしない、などを心がけるよう指示する。

「親和気分」を高めるには・・・・「肯定的評価への信頼」,「周囲への信頼」及び「目標への意欲」の自動思考が重要である。このうち「肯定的評価への信頼」と「周囲への信頼」は他者との関係の中で生じるものであるので、ふだんから職場で声を掛け合う、挨拶をする、お礼を言う、励ます、親身になって話を聞く、などを実践するよう指示してこれらの自動思考を強める。研修では、グループを作ってお互いの良いところを誉め合うようにするとよい。また、「目標への意欲」の自動思考を強めるために、目標をはっきりさせる、簡単にはあきらめない、信念を持つ、新しいことにチャレンジする、などを心がけるよう指示する。

「快気分」を高めるには・・・・「楽観視傾向」,「人生の肯定的評価」及び「周囲への信頼」の自動思考を強める必要がある。嫌なことは忘れる、くよくよしない、アクシデントがあってもばたばたしない、友達や同僚に感謝する、将来の目標を明確にする、ちょっとした良いことでも素直に喜ぶ、職場ではお互い励まし合い、親身になって話を聞く、などを心がけるよう指示する。研修では、自分の長所・特技を互いに伝え合うことで「人生の肯定的評価」の自動思考を強めたい。

「集中気分」を高めるには・・・・「目標への意欲」の自動思考を強める必要がある。目標をはっきりさせる、簡単にはあきらめない、信念を持つ、新しいことにチャレンジする、などを心がけるよう指示する。