DACSの信頼性と妥当性

  1. 認知療法
  2. 抑うつと不安の認知行動モデル
  3. DACSの構成
  4. DACSの実施方法
  5. DACSの採点方法
  6. DACSの信頼性と妥当性
  7. 引用文献

6. DACSの信頼性と妥当性

 DACSの各尺度10項目ずつのクロンバックのα計数の値は0.887~0.945であることかが示されており(福井、1998)、各尺度に含まれる10項目の内的整合性は高く、信頼性も高いことが示されている。

 また、妥当性については、認知療法の対象症例の代表的な自動思考から作成されたCCL(Cognition Check List)(Beck et al., 1987)との比較から、学生や一般成人の抑うつと不安を引き起こす自動思考を測定するための十分な項目が選定されていることが示されている。ただ、DACSには「私は心臓マヒを起こすだろう」などの身体的危険を測定する項目が含まれていないため身体的危険を予測する自動思考は測定できず、心理的危険のみしか測定できないことが指摘されている。

 このことから、DACSは抑うつと不安を伴う適応障害や、うつ病性障害、社会不安障害、全般性不安障害などのクライエントの自動思考の測定に適していると考えられる。しかし広場恐怖を伴うパニック障害など身体的危険の予測が問題となる病状にはあまり適していないと考えられる。

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