典型的なものとして、まず抑うつ状態があります。担任のクラスがうまくまとまらなかったりすると、憂うつになったり、将来に希望がもてなくなったり、自分に自信がなくなったりする先生が多数いらっしゃいます。
次が、不安状態です。息苦しくなったり、動悸がしたり、胃腸の調子が悪くなったりなど、不安の生理的症状がでる先生方も多数いらっしゃいます。
さらに、先生方の仕事はかなりストレスが多く多方面にわっていますので、強い疲労感を感じている先生方も多数いらっしゃいます。
そして、ストレス反応にはつきものの、イライラ感です、神経過敏になったり、ちょっとしたことで腹をたてやすくなったり、カッとしたりしやすくなっていまいます。
そこで、ここでは「担任である私は、何が何でもクラスを完璧にうまくまとめていかなければならない。」という信念を持っている先生を考えてみましょう。
この先生の担任のクラスがうまくまとまらず、クラス内でのけんかが多くなったり、保健室にちょくちょくいく子がでたり、不登校の子が増えたりした場合に、この先生はどう感じるでしょうか。「私は、クラスをうまくまとめなければならないのに、うまくできていないなんて教師失格だ。」などと考えたら、憂うつになり、また何かクラスで起こるのではないかと不安になり、不安気分が長く続くと、胃腸の調子が悪くなったりなど生理的な不安反応がでてくるでしょう。そして、疲れてしまい、いつもイライラすることになります。
そこでこの先生が自分の信念を、「担任である私は、クラスをそこそこうまくまとめられるにこしたことはないが、生徒はそれぞれなのでうまくいく時もあるしうまく行かないときもある。最適と考えられる指導をして、それに対してどう反応するかは生徒次第。」に変えてみるとどうなるでしょうか。
実際には、クラスのメンバーによっては、どんな先生でもうまくはまとめられないというクラス編成になることもあるでしょう。そんな時にも、その現実を受け入れやすくなりますね。また、「完璧にうまくまとめなければならない」と考えていると、自分が担任としてよくやっていると考えられる時はまずないでしょう。
しかし、「そこそこうまくまとめられるにこしたことはない」と考えていれば、自分が担任としてまあまあよくやっていると考えられることは多いでしょう。さらに、クラスがうまくまとまらない原因がすべて担任の責任というわけではない場合も多いのではないでしょうか。
それぞれの子は、担任の先生の影響も受けていますが、家族の影響や地域社会の影響も大きく受けています。ですから、クラスがうまくまとまらないのはすべて担任である自分のせいだと考えるのは合理的ではないでしょう。それよりも、「最適と考えられる指導をして、それに対してどう反応するかは生徒次第」と考えた方が合理的だと考えられます。
例えば医師の場合、「私は患者の病気を常に100%完璧に治さなければ医師失格だ。」などと考えていてはやっていけないでしょう。それよりも、「一般的に最適とされている治療をして、直るか直らないかは患者さん次第」というのが合理的な考え方でしょう。先生でも、事情は同じですね。
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